2011年3月27日日曜日

【トリッキーな交流】三角関係

 人間関係がこじれるときに生じるトリッキーでドラマティックな三角関係についてお話しましょう。

三角関係は、本人が意図していないのに、無意識の行動によって関係を三角形に誘導していき混乱を招くという習慣化した行動パターンという点で、興味深いものです。

似たような現象は生態系に多く見受けることができます。生態系の不思議は生存するために、調整する機能を持っていることです。いまは高山に咲く花も、かっては低地に咲いていた花があります。人間の身体も環境の合わせてバランスを整えようとします。温度が上がる夏に汗をかくのもそのひとつです。

 身体が調整機能を持つように、家族や集団も調整機能を持っています。家族内に身体的または精神的な障害を持つこどもがいる原因を探ると、夫婦間の不仲があったりすることは珍しくありません。病気になることで、家庭の崩壊を救っている例はいくらでもあります。心身症の代表格であるこどもの喘息の場合では、その原因が親の態度にあることもよく知られています。

トリッキーでドラマティックな三角関係は、バランスをとる典型的な形です。

・犠牲者の役割を演じる者
・支配者の役割を演じる者
・救援者(あるいは支持者)の役割を演じる者

以上の役割を演じる三角関係が作られます。

 たとえばこどもが喘息を患っている場合、病気になる以前は、こどもが犠牲者、母親が支配者、父親が支持者といったポジショニングで家族のバランスが保たれていることは少なくありません。しかしこどもが病気になると、役割が入れ替わったりします。

まず母親に対して子育てに間違いがあると批難され、支配者から犠牲者に代わります。一方被害者であったこどもは一転して支配者に代わります。家族はこどもを中心に過ごすことになるからです。こどもは病気を理由に好き勝手を主張します。

しかし、こどもに症状が軽くなってくると、両親の間で、子育てを理由に、攻撃し合い犠牲者と支配者が入れ替わり、こどもが救援者(あるいは支持者)になります。

このように三角関係の役割交替は止まることなく続き、家族の均衡を保ちます。

家庭だけでなく、三人以上の人が集まったところで、それぞれの役割を演じる三角関係が起こってきます。その中心にいるのが「支配者(加害者)」です。人を思い通りに支配したい欲求の裏には、合理性とは関係なく、その人特有の価値観から生じている不安、不信があります。無意識に人間関係をこじれさせ、結末(目的)に誘おうとするのです。誰かが「自分はダメな人間」と思わずにいられない結末が用意されています。

 ドラマティックな三角関係が出来上がる背景には、必ず人間関係をこじれさせ、無力感を味わうはめに陥るネガティブな意図を持った人が存在しています。その無力感こそ仕掛けた人の根底にある脱ぐいきれない感情なのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿