2011年4月30日土曜日

仕掛けからはじまる こじれる人間関係

 意識の上では、愛されたくて異性に近づき、愛されるような言動を繰り返し、注目をひきます。これがはじまりで、仕掛けといえます。この段階では、関係はスムーズで問題はなく、互いに温かい交流を交わします。

仕掛けに相手が乗ってきて、愛されていると感じると、「禁止令」が動き出します。すると一転してドラマティックな展開に変化していきます。言動に一貫性がなく、やがて禁止令が勝っていきます。



 言動に一貫性がなく、やがて禁止令が勝っていくと、言動に明らかな変化が生じるので相手は混乱してきます。ケンカは火種があるものですが、この場合にはなにもありません。当人の要望に応えるほど関係が悪くなるというのは、コミュニケーションのルール違反です。

相手はこれまでの良い関係を念頭にコミュニケーションをしてきますが、一貫性がなく、裏切られることが続くのでストレスが高まります。状況に不似合いなコミュニケーションは当人がラケットを使っているからです。それでも人によっては我慢を重ねますが、改善の傾向が見えないままなので、やがて相手が耐え切れずこじれるようになります。この段階でこじれる状態が表面化します。三角形のトラブルはその典型的なパターンです。

この段階で立場が一転してしまうのです。それは見事なまでに劇的です。
それまでの救済者が加害者に一転するからです。相手は、なぜそうなったのか分りません。堪忍袋の緒が切れて怒りを向けた場合、温厚な人なら自分の行為に自責の念で苦しむことにもなります。

怒りを抑圧した場合には、ストレスが蓄積されたまま無残な思いを味わうだけです。また他者に打ち明けても、真に理解を示す人はなく、孤立感に苛まれるだけです。

どちらにしても救いはありませんが、ほとんどの場合、相手には非がなく、当人によって、そのように仕向けられ、追いつめられた結果なのです。

そのトリックの種明かしは分っていると簡単です。
最初、当人の思いが優先します。
当人の願いが叶うと、禁止令が動き出し、関係が混乱しだします。
願いが叶うほど、ますます禁止令が強くなり、願いが負け、禁止令が逆転勝ちします。
禁止令は自分を拘束しているギャングです。
自由に楽しく生きて生きたい、自己実現したいと思っても、努力するほど、禁止令が自分の願望を抑え込んで勝利します。

つまり、ドラマティックに破綻する交流は、自分の願望を抑え込む習性が身についてしまっている人の悲しいひとり芝居なのです。その悲劇につきあわされる人は、カモにされているのです。

カモにされた人が結末で味わうことになる救いのない孤立感は、実は仕掛けた当人が抱えている孤立感に他ならないのです。つまり本人が抱えきれないので押しつけられた状態に陥っているのです。そう考えると同情したくもなりますが、根強い禁止令は素人である他者が努力して簡単に解放できるものではないのです。

2011年4月11日月曜日

あなたが人間関係を壊している手順

以上、サンプル的に見たトリッキーな展開のプロセスに運命脚本の怖さを垣間見ることができます。意図的でないもの、意識できないものを、事前に意識することはほとんど不可能です。

対策は「運命脚本」という手のつけようのない魔物の存在を認識しておくことです。それでも対策にはなりません。すべてが終わった後に気づくことは出来ますが、途中で気づくことも当事者には困難です。

では、どうすればいいのでしょうか?
日頃の自分の言動、交流パターンの特長を客観的に観察することです。そこに
人間関係をこわす手順があることに注目してください。

最初に、無意識の目的が自分にあります。
無意識だから、自分にも判りません。

目的は意識されることはありませんが、無意識に備わった人間関係に対する基本的な構えが影響して、最後に確認することになります。

一生通じて変わらない方が多いので、繰り返すほど構えが強化される場合が多いようです。俗に性格、気質と表現されている、その本質です。

人間関係の構えは、以下の4タイプあります。人によって構えが変わります。ほとんどが幼児期からの体験を通じて培われています。

・自分はOK,他人もOK(自己肯定、他者肯定)
・自分はOK,他人はNO(自己肯定、他者否定)
・自分はNO,他人はOK(自己否定、他者肯定)
・自分はNO,他人もNO(自己否定、他者否定)

否定のある構えを持つ人は、危険です。
程度によりますが、強い場合、自分の人生そのものを否定していることになります。


2011年4月3日日曜日

【トリッキーな交流】ラポ

ラポは女性が仕掛ける(特定していない)男性への復讐劇です。

自己否定感について、危惧される方は多いのですが、逆に他者否定についてはあまり意識されないように思います。

他者否定を自分がどのようにしているか分らないために人間関係を自ら破綻させているケースは非常に多いのです。

他者否定の交流には、主に次のようなものがあります。

責任を他に転嫁して自分の立場を守る
自分の不安や自信のなさを不平不満で覆い隠す
異性と関わった後に毎回相手を傷つけて、見捨てる
自分が援助を頼んだ相手を、窮地に追い込む
助けた相手から裏切られる
相手の過ちを見つけて執拗に責め立てる
二人以上の人々と関わると仲間割れを起こす
毎回デートの最後に喧嘩別れする

それにしても他者否定が起こる発端は、ほとんどの場合、自己否定感から始まっています。強い不安があると、自分以外に対象を見つけて、責任転嫁するのは典型的な事例です。言い訳をするときに他者のせいにするのは、よくあるケースです。

ライフスキルのひとつである批判的思考(クリティカル思考)スキルが不足しているので、強い不安や不快があると相手や環境のせいにしてしまいます。責任転嫁、他罰主義がその典型です。
何か起こった時に原因を自分の外に求めるのは珍しいことではなく、「嘘」という形で認識できます。

厄介なのはそこに、善悪や肯定・否定など白黒二分する価値観が強く入り込み葛藤が生じた場合です。

表面的には分りにくい心のトリックを「投影」という形で行われます。投影は、自分の感情を相手に投げかけて、受け取った相手の感情を相手のものとして、自分は楽になろうとするものです。

思い通りに物事が行かないときに、自分がとった行為の結果、その重大さに圧倒されると、巧妙に自分以外の誰かのせいに仕上げて、責任、選択を自分以外の誰かや環境のせいにしてしまいます。客観的な判断ができないとストレスに耐えられずパニックになり自暴自棄的に「投影」によって不安から逃げ出して楽になろうとするのです。
感情の洪水に押し流されそうになった時、釘がいっぱいの流木にでもすがりつきます。

税金を未納にする人が、催促されると他にも未納者がいることを口にして逆に糾弾するのもそうです。表面では他者否定ですが、その裏では自己否定感を投影するトリックが働いているのです。

あるいは、自分が相手に好意を持っていたとして、それを何らかの事情で率直に認めることができない場合など、相手が自分に好意を持っていることに置き換えて対処する。心のキャッチボールを繰り返している内に、相手は、なんでこうなったのか、よく分からない、気がついたら立場が逆転している状態になることがあります。

その発展した形が「ラポ」と呼ばれるものです。

ラポは、レイプをもじった言葉で、軽い男女の戯れから、複雑な三角関係、修復を拒絶する離婚問題、さらに傷害、殺人、自殺に至る悲劇的なさまざまな男女関係まであります。

相手の非を発見してやり込め抜く「ヒステリー糾弾」と同じタイプの他者否定の交流ですが、「ラポ」の場合には性的なニュアンスが強く、主に女性が演じるゲームという点が特長的です。目的は男性への復讐、性的な接触の回避にあります。

自分が気を引くことを重ねているにも関わらず、男性が自分に注目すると無意識のうちに男性のことを憎む心理が作動します。「自分は男性に迫られている」という投影の図式を作り、無意識のうちに男性に対して「復讐」を遂げるのです。

男性の前で、華やかな服装やコケティッシュな動作で気をひきます。男性が引かれるとしばらく追いかけさせて翻弄します。徐々に屈辱的な態度や言葉が増えていき、屈辱に耐える期間を経過して、求愛や性的な交渉の段階になると肘鉄砲を食らわします。男性は一変した態度が理解できず苦しみます。周囲に告発することも多く、男性はさもしいことをしたと自己嫌悪に苛まれます。

基本的な構えは「男性はOKではない」という否定的な構えで、毎回それを確認するために、被害者から迫害者に転じるゲームを演じて、最後には「男はみんなケダモノ」と攻撃します。男性は社会的に批判される立場に追いやられるというまさしく男性への復讐なのです。

幼児期、少女期に何らかの形で男性への反感、敵意を植え付けられた女性が、ラポ・ゲームでその復讐を果たすことで満足を得ます。

傾向としては、自己顕示欲の強いヒステリー性格の女性に多く、女性性が確立されていない未成熟な女性が多く演じるゲームです。未成熟であるがゆえに男性は甘い罠にひっかかってしまいやすいのです。
男性と親密な関係になると、恋愛関係を壊す女性。あるいは偶然のように見えても、いろいろなトラブルに次々に巻き込まれる場合には、このゲームの可能性が強いと考えてください。

また計算された嘘ではなく、本人は被害者と思い込んでいるので、結末は修復も出来ません。相手を序罰し、社会的に葬った後、自分を愛した者を失ったことに自分の未熟さを後悔し、孤独感と自己否定感に行き着きます。

意図的でないのに、始まるとどうにも変えようがないままに結果は破綻。双方とも深く傷つきます。



▼お問い合わせはコチラから