2014年8月2日土曜日

「私をわかってほしい」肉食系女子の純情



22歳になる女性がある男と恋愛関係になりました。

恋愛関係に陥ってから、毎晩深夜の帰宅。
ひとり娘を女手ひとつで育てた母親は心配で女性の友人に電話をかけて様子を探る。
そうする内に、母親の知らない娘像がぼんやり見えて来た。

家ではほとんど会話がないという。
女性の友人は口を揃えて「真面目な娘(こ)」と言う。
母親は安心する一方で、最近の動向に、なにか違うと感じる。

友人は思っていたイメージと違うイメージを持った。
母娘ふたりの家庭。それなりにコミュニケーションは十分とれていると想像していた。

女性には、親にも、友人にも、隠し事があった。
誰にも言わずに男性との関係が多かった。

母親はその一端を知った段階で、怒り厳しく叱責で、落胆した。
「一生懸命、育てたはずなのに失敗した。」
女でひとつで育てた自負があった。その自負が崩れた。

嘘は思春期に入った子どもに起こります。
男女とも同性の仲間と行動を共にします。家庭とは別に心の拠り所を同性の友だちに求め、仲間が自然形成され、自分たちだけに通じる言葉を使い、共通のアイドルを作り、親に聞けないセックスの悩みや家庭の秘密を分け合います。

そうして親の目の届かないところで自分の世界を持ちます。

この世界こそ、子どもが本当の自分を主体的に生き始める最初の場所なのです。
自分の人生のある場所づくりのスタートです。

しかし、この状態を親から見ると、「秘密の世界」に見えます。親は自分の子どもが自分の知らない世界を持つことを嫌います。自分の支配の及ばない世界があることに不安を覚えます。幼子を相手にするように友だちとの行動を一部始終話させようとします。

特に母親と娘の関係はそうです。べったり何事も話し合う関係を求めますが、それに応えるられる娘になるには、秘密の世界をきちんと持てることが必要です。

思春期の子どもには、秘密の体験なくして、健全に育つことはできないのです。
しかし親子の関係が密接でありすぎて、子どもが必要以上に「良い子」でいようとすると、本当の自分を主体的に生き始めることに失敗します。

子どもは、主体的に生きることをいくつになっても求めます。それが健全な姿で、思春期に体験するのが自然なのです。嘘は懸命の頑張りなのです。

親は、知っていても知らぬふりをして騙されてやることも、子育てなのです。
この女性の場合、男性遍歴は、主体性の獲得に失敗した結果なのです。
いつも女手ひとつで育ててくれた母親への感謝が重荷になり、言葉や行動が気になって、嘘をつきたくてもつけず、何も言えない状態が22歳まで続いてきたのです。

帰宅が遅ければ叩かれ、厳しさに反抗もせず、良い子であろうと続けたために、交際する男性とも率直な交流ができず破綻してしまい、人数だけが増えてしまう。
おそらく思春期に同性と仲間になって内面性を獲得するようにした方が安全で傷もつかなかったでしょう。

ふしだらのように見えても、実は懸命に生きようとしていたのです。
それが22歳で付き合った男性は、彼女とのセックス目当てだったのです。引っ張り回し深夜まで離さない毎日。遅すぎた思春期の試みは、妊娠、堕胎という結果になりました。
彼女が深夜まで帰宅しないのは、秘密を守り通せなかったからです。

肉食系女子にも、ポジティブな肉食系女子とネガティブな肉食系女子がいて、同じ肉食系に見えても実は全然違うのです。


「私をわかってほしい」というメッセージを子どもが出す時、きちんと聞いてやれる親になるために、社会の目と同じくしない繊細さが親には必要なのです。




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