2015年10月26日月曜日

どうか私の言っていないことを聞いて


自分の心に突き刺さった一編の詩。

どうか私の言っていないことを聞いて 」と
弱々しくつぶやく人に出会ったときに聞こえてくる詩。

突き刺さったまま、抜けずに、抜くことなく歩いています。



どうか私の言っていないことを聞いて 



私に騙されないで。 
私がつくろう顔に騙されないで 
私は仮面を、千の仮面を被っているから 
それを外すのが怖くて 
どれひとつとして私じゃない。 
うわべを飾るのは第二の習性となった技巧 
でも騙されないで 
お願いだから騙されないで 
あなたに、私は大丈夫という印象を与える 
すべては順調で私の内も外も静かに落ち着いているという 
自信が私の名前でクールなのが私のゲームといった 
水面は穏やかで私は指揮権を握っているといった 
私は誰も必要としないといった 

でも私を信じないで 
表面は穏やかに見えても表面は私の仮面 
つねに変化しつねに姿を隠す仮面 
その下に安心の字はない 
その下には混乱と恐れと孤独が待っている 
でも私はそれを隠す。誰にも知られたくない 

私の弱みや恐れがむき出しにされると考えるだけで私はうろたえる 
だから私は血迷ったように隠れ蓑を着ける 
何気ないふうな洗練された見せかけの仮面を 
うわべを飾る手助けをしてくれる 
見抜いているといった眼差しから私を守ってくれる仮面を 

でも、そんな眼差しこそが私の救済 
私の知る唯一の希望 
つまり、もしその後に私が受け入れられるのであれば 
もしその後に愛があるのであれば 
それは私を私自身から解放してくれる唯一のもの 
私の自分で築き上げた牢獄の壁から 
私があんなにも丹精込めて作った砦から 
それこそが私が自分自身に確証できないものを確証してくれる唯一のもの 
私にもじつのところ何らかの価値があるのだと 

でも私はこのことをあなたに言わない。あえて言わない。怖いから 
私はあなたの眼差しの後に受け入れる 
その後に愛が伴わないのではと恐れる 
あなたの嘲笑は私を殺すのだから 
私は結局のところ何者でもなくただ駄目な人間であることを恐れる 
あなたがそれに気づいて私を拒否することを恐れる 
だから私は私のゲームをプレイする。命がけの扮装ゲーム 
表に確信のうわべをつくろい内なる子どもは震えている 
そうしてきらびやかなけれど空虚な仮面のパレードが始まる 
私の人生は前線となる。 
私は無為に口あたりのよいうわべだけのおしゃべりをする 
本当のところどうでもいいことは全部あなたに話す 
本当に大切な事、私の中で泣いているものについては何ひとつ話さない。 

だから私が私の決まりきった私を演ずるとき私の言っていることに騙されないで 
どうか注意深く聞いて私が言っていないことを聞いて 
私が言ってみたい事を生き延びるために言わなくちゃならないのに 
私が言えないでいる事を聞いて 

  
 私は隠れたくない。 
 うわべだけのいんちきゲームはしたくない。 
 そんなゲームはやめてしまいたい。 
 私は本物で、自然で、私でありたい、 
 でもあなたが助けてくれなくちゃ。 
 あなたの手を差し伸べてくれなくちゃ。 
 たとえそれが、私が一番嫌うことのように見えても、 
 私の目から生ける屍のうつろな凝視を拭えるのは 
 あなただけ。 
  
 私を生に呼び戻せるのは、あなただけ。 
 あなたが親切で寛容で励ましてくれる時いつも、 
 あなたが本当の気遣いから理解しようとしてくれる時いつも、 
 私のこころに翼が生え始める、 
 とっても小さな翼、 
 とってもかよわい翼、 
 でもそれは翼! 
 私の感情にふれるあなたのパワーで、 
 あなたは私に命を吹き込める。 
 あなたにそのことを知っていて欲しい。 

 あなたが私にとってどんなに大切か、知って欲しい、 
 あなたは私という人間の創造者、 
 そう、真面目な話、創造者になりうることを、 
 もしあなたがそうしたいのならば。 
 あなただけが、私がその後ろで震えている壁を取り崩せる、 
 あなただけが、私の仮面を取り払える、 
 あなただけが、うろたえと半信半疑の私の影の世界から、 
 私の孤独な牢獄から、私を解放できる、 
 もし、あなたがそうしたいならば。 
 どうかそうして。私をやり過ごさないで。 
 あなたにとってやさしいことではないはず。 

 自分は役立たずとの久しい確信は、強大な壁を築く。 
 あなたが私に近づくほど 
 私は盲目的にはね返すかもしれない。 
 それは不合理なこと、だけど本に書かれている人間とは違って、 
 しばしば私は不合理。 
 私は欲しくてたまらないまさにそのものに対して闘いを挑む。 
 でも愛は強大な壁より強いと人は言う、 
 そしてそこに私の希望はある。 
 どうかその壁を打ち壊して、 
 堅固な手で、 
 でも優しい手で、 
 子どもはとても敏感だから。 

 私は誰、とあなたはいぶかるかもしれない? 

 私はあなたがよく知っている人。 
 私はあなたが出会うあらゆる男たち、 


 あなたが出会うすべての女たちなのだから






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